現代はファッションサングラスに加え、スポーツサングラスやアウトドアサングラスなど、昔と比較にならないほど多くのジャンルのサングラスが販売されています。
そして、これら全てではないものの、ほとんどのサングラスにUVカット機能が備わっています。
サングラスにとってのUVカット機能とはどのような意味があるのでしょうか。
また近年になってこれほどUVカット機能がクローズアップされる理由とはどのようなものなのでしょう。
実は、近年は紫外線量が年々増えつつあり、このことがUVカット機能のクローズアップとも関係しているのです。
年々増えつつある紫外線量
地球に降り注がれる紫外線は、年々増えていることをご存知ですか?
以下のグラフは、気象庁が発表している、つくばにおける紅斑紫外線量の変化を1990年から2020年の期間でグラフにしたものです。
紅斑紫外線量とは人体に及ぼす影響のある波長の影響度を考慮して算出した紫外線量のことをいいます。
このグラフをみると、右肩上がりに増加していることが分かります。
このグラフはつくばでの計測結果だけをグラフにしていますが、もちろん日本全国で同様の傾向が出ています。
またこのグラフでは1990年からの計測値しか記録されていませんが、そもそも日本ではそれ以前には紫外線量を測定していませんでした。
もし1980年から測定を開始していたとすると、2010年までに紫外線量は18.5%増えているのではないかとの説もあります。
つまり10年後の2020年までであれば、それ以上増加している可能性があるということです。
紫外線を浴びるとどうなるのか
ではこの増え続けている紫外線を浴びるとどうなるのでしょうか。
紫外線を肌に浴びると日焼けするだけでなく、皮膚がんの可能性が高まるとともに、シミやそばかす、肌のたるみの原因になることが知られています。
では目で紫外線を受けるとどうなるのでしょうか。
メラニン色素によって肌が黒くなる
まず最も女性が気にする、肌が黒くなるという現象が起きてしまいます。
肌が日焼けしないようにしていても、目で紫外線を受けるだけで肌が日焼けしたように黒くなってしまうのです。
これは、目の細胞が紫外線によってダメージを受けると、脳がメラニン色素を作るよう指令を出してしまうことで起こる現象です。
メラニン色素は肌が黒くなるだけでなく、シミやそばかすの原因でもあります。
日焼けしないよう、いくら日焼け止めを塗り、長袖を着ていたとしても、目で紫外線を受けただけで肌が黒くなってしまうのです。
目の障害が起こる可能性も
そしてもっと怖いのは、目そのものの障害として白内障や角膜炎、それに黄斑変性という視界の歪みや目が見えなくなる疾患が起きてしまう可能性も指摘されています。
UVカット機能のない濃い色のサングラスをかけると
目で紫外線を受けると色々な問題が起きてしまいますが、怖いのはUVカット機能が備わっていないレンズの色が濃いサングラスをかけると、裸眼の時以上に紫外線を受けてしまうということです。
人間の目には、瞳孔の大きさを変化させることで明るさを調節する機能が備わっています。
明るいところから暗い場所に入った瞬間は、暗くて何も見えなくても、しばらくすると見えるようになってくるのは、瞳孔が開いて光を取り入れているからです。
一方、暗いところから明るい場所に行くと、最初は眩しいのに、しばらくすると眩しく感じなくなるのは、瞳孔が狭まって光を取り入れにくくしているためです。
では、色の濃いサングラスをかけると瞳孔はどうなるのでしょうか。
瞳孔は光を取り入れようと広がってしまうのです。
しかしそのサングラスにUVカット機能が無ければどうなるかというと、広がった瞳孔でたっぷりと紫外線を受け止めてしまうことになります。
しかも瞳孔は光が弱いほど大きく広がるため、サングラスレンズの色が濃いほど大きく広がってしまい、より多くの紫外線を受けてしまうことになるのです。
このような状態になるのを防ぐには、色の濃いレンズのサングラスをかける場合には、UVカット機能が備わったものをかけるようにするべきでしょう。
UVカット機能が備わったサングラスについて
上でご説明したことから分かるように、サングラスレンズの色の濃さとUVカット機能は別なのです。
レンズの色が濃ければ紫外線を防ぐことができるとお考えであれば、それは間違いです。
現在市販されているサングラスは、多くのものにUVカット機能が備わっていますが、中にはUVカット機能が備わっていないものもあります。
特にレンズの色の濃いサングラスを屋外などの紫外線量が多い場所でかける場合には、UVカット機能が備わったものをかけるようにしましょう。
UVカット機能の表示について
UVカット機能が備わったサングラスには、紫外線透過率もしくは紫外線カット率などの表記がされています。
紫外線透過率とは、紫外線をどのぐらい通してしまうのかが示されているので、1.0%以下などの表記がされています。
つまり数値が低いほどUVカット機能が優れていることになります。
一方、紫外線カット率はどのぐらい紫外線をカットするかが示されており、99%以上などのように表記されています。
数値が高いほどUVカット機能が優れていることになるわけです。
まとめ
紫外線量を目に受けるだけで日焼けしてしまうことや、色の濃いレンズのサングラスをかける場合には、UVカット機能が備わったものを選ぶべきであることなどについてご説明しました。
安価なサングラスの中には、UVカット機能が備わっていないものもあります。
紫外線量が年々増えてきている現代では、サングラス選びは価格やデザインだけではなく、UVカット機能についても考慮して選ぶようにしましょう。